新型コロナウイルス感染を如何にして予防するか、苦心されておられる方も多いと思います。
当院ホームページ上で「次亜塩素酸水」、「次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)」、「エタノール」についてウイルスの接触感染を予防する観点から考察を行って参りました。
この辺で一度情報をまとめてみたいと思います。
<はじめに>
消毒剤が不足しがちな今日(2020年4月23日時点)の世相の中で、様々な情報がテレビやインターネット上に飛び交っているため、最新の文献や自験例により導き出した現時点でのエビデンスを基に作成した使用例を御紹介致します。
化学薬品にはメリットとデメリットがあります。ウイルスは十分に不活化できて、人体への害が少ない使用方法を選択することが大事です。
安定した消毒剤の供給が始まれば、平時の、これまでやって来られた方法でウイルス対策を行って頂けたらと思います。
また、ここに提示する内容は新型コロナウイルス感染症を治すための方法ではございません。最後まで読んで頂けたら幸いです。それと、お子さんたちは必ず大人の方と一緒に消毒(しょうどく)行為をおこなうようにしてください。
<現時点での各消毒剤に関する研究報告>
現時点で、新型コロナウイルスそのものを消毒剤で不活化する研究としてはエタノールによる不活化が報告されています。これは、人体への治療投与ではなく、モノに付着した新型コロナウイルスの感染性を制御するという意味合いです。
検索し得る限り、次亜塩素酸水や次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)による新型コロナウイルスそのものを不活化する検証はありませんでした。その代わり、新型コロナウイルスに似たウイルス、似た構造のウイルスを消毒する報告は蓄積されていましたので、そういった文献を基に考察した内容のまとめを今回御提示致します。
今後、新しい報告があればまた別の機会に御紹介する方針です。
<エタノールによる対策>
さらに詳しく内容を知りたい方はこちら。
また、希釈される場合は容積の希釈方法で行うようお願いします。メスシリンダーや計量カップなど、mlの希釈方法ですね。
<次亜塩素酸水による対策>※一部自治体などで配布されていますのでご参考に。
さらに詳しく内容を知りたい方はこちら。
次亜塩素酸水の場合は、自治体様でどのような製品を配布しておられるか私には分かりません。
当院がございます熊本市では市民の方へ次亜塩素酸水が配布されておりませんので、自治体様が配布される場合にどのような使用方法の説明がなされているかも不明です。
ただ、次亜塩素酸水のウイルス不活化が十分可能な濃度は決まっており、そして次亜塩素酸水濃度というものは不安定であるため、保存方法や交換頻度などはきちんと自治体様の定めるルールを守って御使用下さい。
<次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなど)>
新型コロナウイルスに似たウイルスに対して、次亜塩素酸ナトリウムは少なくとも0.21%の濃度がウイルス不活化に必要とする文献がありますが、次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ性であり、人体への影響が強く、皮膚や粘膜などへ直接使用することは想定されていません。
そのため、ウイルス対策に人体や生き物に使用することはお薦めしません。
口に入れたり、噴霧して吸い込んでしまうと粘膜損傷や気道粘膜損傷のリスクがあります(肺損傷のリスクも)。
スプレーする行為自体も厳禁と記載されています。
消毒が必要なドアノブや手すり、スイッチ、エレベータのボタンなど無機物の清掃消毒のみに限定して使用する場合もマスクやゴーグルを着用し、使用後は十分な換気を行い、残留塩素を吸い込まないようにしましょう。また、漂白作用もあるため十分注意して使用しましょう。
さらに詳しい情報が知りたい方はこちら。
<まとめ>
ウイルスの接触感染を防ぐため、化学薬品を安全に使用する方法を、現段階で集積し得た情報、エビデンスを基に作成しました。
これはほんの一例です。
市販品でウイルス対策用に販売されているものであれば、手に入る方はそちらを優先的に使用して下さい。
そういった商品が手に入らない方は、上記を参考にしていただけると幸いです。
4月23日の現時点でお伝えできることを記事にしましたので、また新たな知見が得られればご提供致します。
匂坂正孝 医師、医学博士