前回は感染が足底腱膜に及ぶ直前でくい止める治療についてご説明しました。

【形成外科】糖尿病性足潰瘍の治療:足の裏全体に感染が広がる前に

 

今回は、足底腱膜に感染が及んでしまった場合の治療法を説明します。

ここまで感染が進んだ場合は、間違いなく入院加療が必要です。

親ゆびの感染が足底腱膜に広がった場合です。

イラスト上は紫にしていますが、実際は腱膜と周囲の組織も溶けてしまっています。

 

治療の基本は感染した組織を除去する所から始まります。

壊死した組織や感染した組織を除去することを、デブリードマンといいます。

 

 

1回目のデブリードマンで溶けた軟部組織と骨を除去します。

感染した骨は関節で切る方が安全です。

感染が強い時に骨髄が露出するような形で骨の処理をすると、

骨髄から感染が広がっていくことがあるからです。

 

洗浄処置を1~2週間繰り返し、採血と熱の出方で、

感染が落ち着いたと判断できた時点で、骨を部分的に切除します。

骨が完全に腐っていなくても、傷口から骨だけ突出していると、

治りの邪魔となるため、傷口から飛び出さない程度に切断します。

最終的に治って、靴が履けるようになった時に、

凹凸がある足になっていると、靴擦れの原因となるからです。

 

最終的な形を想定しながら治療をデザインしていくことが大切です。

 

骨髄が露出することにより、そこからも肉芽組織といわれる、

血流が豊富なお肉のような組織が出現してくれます。

 

 

赤い肉芽組織で、傷口が完全に覆われるまでには時間がかかりますので、

局所陰圧閉鎖療法を用いて、スピードアップを図ります。

現在は、V.A.C. ULTA(KCI社)という、

周期的に傷を洗いながら局所陰圧閉鎖療法を行える機器を使うことが多く、

当院でも導入予定です。

この治療により肉芽組織の増生が促進されます。

約1か月間かけて、創部を肉芽組織のみの状態まで改善させます。

 

その後に、植皮術という手術で創部を閉鎖します。

これは局所麻酔で可能な治療です。

 

植えた皮膚が、創部にしっかり安定してくっつく(生着する)までは

約2週間が必要です。

 

 

「デブリードマン+V.A.C ULTAによる治療+植皮術」

を行うと、最短でも2か月間は治療にかかる見込みです。

さらに、足の血の巡りが悪い状態(重症下肢虚血)がからんでいますと、

血行再建が必要となります。その場合は一旦転院し、

循環器内科でカテーテル治療を行ってもらいます。

 

私は熊本労災病院の循環器内科で、毎週水曜日に足壊疽外来を行っていますので、

そちらの土井先生達にお願いする可能性が、現段階では高いと思います。