肥厚性瘢痕やケロイドの治療は、
保険診療でできます。
手術や傷ができた部位に、「緊張がかかり続ける」と肥厚性瘢痕となります。
肘や膝などの関節部は、緊張がかかるのがイメージしやすいと思いますが、
実は体の「真ん中」も絶えず左右に引っ張られ続けており、
そのため、腹部や胸部の真ん中を切開した手術の傷は、
肥厚性瘢痕になりやすい傾向があります。
治療には、
①飲み薬(リザベン)
②注射(ケナコルト)
③手術(切除して、しっかり真皮縫合)
④シリコンシートによる圧迫
があります。
ケロイドの場合は、
⑤切除手術後の放射線治療(外来通院で4回ほど)
が加わります。
近隣の「国立病院機構 熊本医療センター 放射線科」に依頼させていただいています。
飲み薬や注射は、痛痒さや、傷の赤み・硬さが気になる方にお勧めです。
注射は1~2か月に1回程度、肥厚性瘢痕に直接注入し、5~6回ほど行う場合が多いです。
飲み薬や注射によって、
瘢痕の色は白く、盛り上がりは平坦になって目立ちにくくはなりますが、
幅のある傷跡が残ります。
形成外科医としては、
一気に肥厚性瘢痕を切除し、
皮膚の深い部分(真皮)で緊張をとって、
皮膚の浅い部分(表皮)には緊張をかからなくする、
「真皮縫合」ということをしてあげることが、一番お勧めです。
最短の治療期間で肥厚性瘢痕を無くし、
しかも傷跡は細い線状のものが残るのみとなります。
当院では局所麻酔による日帰り手術が可能です。
しかし、ただでさえ何らかの手術によって肥厚性瘢痕になっており、
「また手術というのは、あまり気が進まない」という方が実際は大多数です。
まずは傷の赤みや硬さ、痛がゆさを、簡便な治療で治し、
その上で、やはり傷跡そのものも気になる場合は、
切除を検討されるという流れで良いと思います。
お困りの方は、形成外科にご相談下さい。
形成外科・美容外科
匂坂正信