当院では、ワキガの手術を保険診療でおこなっています。

 

【形成外科・美容外科】当院での腋臭症(ワキガ)+多汗症への総合的治療を論文発表しました

 

↑当院でのワキガ(腋臭症)とワキの多汗症に対する総合的な治療を論文報告しました(2024年7月)

 

 

手術は「皮弁法」というものを用います。

ワキガの臭いの原因となるアポクリン汗腺を、実際に切除することによって、

臭いの原因を断つという方法です。

まず当院ではワキ毛が生えている部分の中心に1本の皮膚切開を加えます。

2本の切開を加える方法もありますが、その場合は線と線の間の皮膚が、

壊死してしまうリスクが高いため、私は1本の傷からアプローチしています。

 

そして毛が生えている部分をドーム状にめくりあげ、

実際にワキガの臭いの原因となっているアポクリン汗腺を

切除します。

毛根にくっついている、やや深い場所にあるのがアポクリン汗腺です。

(浅い方はエクリン汗腺という、多汗症の原因です)

皮下脂肪の層で皮膚をめくり上げ(白い矢印の層)、アポクリン汗腺を可能な限り切除していきます。

 

ここで重要なのが、「残す皮膚の厚さ」です。

皮下組織を削り取り過ぎると、残った皮膚が壊死してカサブタになってしまいます。

かといって、切除する組織の量を遠慮しすぎますと、

アポクリン汗腺を充分に減らすことが出来ず、臭いが残ってしまいます。

 

そこを見極めながら治療を行っています。

 

創部は縫合しますが、ドームにめくり上げた皮下には大きなスペースが生まれ、

そこに血が溜まると、血腫という感染の温床ができあがってしまいます。

これを防ぐため、術後は血を抜くための管(ドレーン)を留置します。

 

ドレーンから血を絞り出し続けるために、術後は創部に大量のガーゼを当てる圧迫が必須であるため、

一般的には粘着力が強い圧迫テープでの固定をする場合が多いですが、

当院では、テープによる皮膚へのダメージを回避するために、ワキをバンドでしっかり固定するようにしています。

 

 

ドレーンを術後3〜4日後に抜去し、術後7日目に抜糸を行います。

ドレーン抜去後は皮下に溜まる液体の逃げ場がなくなりますので、さらに圧迫と厳重な安静が必要となります。

そのため、「術後1週間は入院」をお願いしています。

 

 

抜糸までの1週間は、ワキにガーゼをしっかり当て、

圧迫バンドで固定します。

圧迫期間中は運動や飲酒、自転車移動(ワキが開き、圧迫が不十分となるため)

は控えて頂きます。

公共の交通機関でのバスや電車の低めのポールやつり革を持つ動作は許可しております。

その場合も、出来るだけ低い位置までしか腕を上げないようにして下さい。

 

また、術後の1週間に着用する「服」も重要です。

Tシャツなどの、袖を通す時に両腕を上げる動作が必要な服の着用は、

くれぐれも控えるようにして下さい。圧迫が不十分になってしまいます。

 

術後は病衣という浴衣のようなものをお貸し出しするか、パジャマやシャツなどの服の前がボタンなどで開くタイプの

衣類の着用をお願い致します。

 

*ご相談に来られる際は、制汗剤などは使わずにご来院ください。

実際に脇汗のにおいを嗅がせていただき、手術適応の判断材料とさせて頂きます。

 

 

当院では多汗症の塗り薬(エクロックゲル:保険適応)による治療も行っていますので、

ワキガや多汗症でお困りの方は、是非一度ご相談下さい。

 

多汗症のボトックス注射も自費診療で対応可能です。

こちらは半年間は効果が続きますので、

汗で困ることが多くなる、夏前に治療される方が多いです。