眼瞼下垂症では、
・まぶたが重い
・眉毛を上げないとものが見にくい
・ひたいのシワが増えた
・頭痛や首・肩のコリがひどい
などの症状が出現します。
【原因】
・腱膜性
目を開ける筋肉(眼瞼挙筋)についている、腱膜という組織が、
加齢やハードコンタクトレンズの長期使用によって伸びてしまっているもの。
・皮膚性
加齢や、アトピーなどによって長期的にまぶたをこすってしまい、
まぶたの皮膚が伸びてしまい、余剰となっているもの。
【治療法】
術式は3つあります。
①挙筋短縮(前転)術
②余剰皮膚切除術
③筋膜移植術
今回は一般的な術式である、
①挙筋短縮(前転)術のイラストを載せました。
伸びてしまった腱膜を短くして、まぶたの軟骨(瞼板)に固定し直す手術です。
↓
二重のラインを利用してアプローチするので、傷跡はそのまま二重のラインとなり、
あまり目立ちません。
もともと一重の方は、術後に二重になります。
余剰皮膚をたくさん切除する必要がある場合は、
目尻に小ジワが1本増える形で、傷跡が残ります。
局所麻酔で、1時間程度の手術となります。
抜糸は1週間後です。
日帰り手術を基本としていますが、
ご希望があれば、抜糸までの1週間の入院も可能です。
【術後経過】
術後経過はこちらの↓投稿をご参照下さい。
術後1週間で抜糸を行います。
この時点で、多くの方は、傷の周りの赤みや腫脹は軽減してきています。
浮腫(むくみ)は術後3~6ヵ月程度続きます。
上眼瞼がむくんでいる間も、目は開けやすくなっていますが、
本当にまぶたがスッキリするのは3~6ヵ月後とお考え下さい。
目を開ける機能の改善を第一としている保険術式ですので、
わずかな左右差の修正などは自費での対応となることがあります。
目を開ける機能の改善が不十分な場合は、
術後半年の時点で、再度の手術を保険診療で行います。
【③筋膜移植術の適応】
「先天性眼瞼下垂症」や「重度の腱膜性眼瞼下垂症」の方も、
太ももからの筋膜移植で手術可能です。その場合も局所麻酔で行います。
この術式では眉毛を上にあげる筋肉(=前頭筋)の力を、
まぶたに伝えて、目を開ける形になります。
小学校高学年~中学生くらいから、
お子様でも局所麻酔で手術ができる場合がありますので、
ご相談ください。
全身麻酔での手術は現在行っていませんので、
全身麻酔の適応となった場合は、他院へ紹介させていただきます。
心臓の術後などで、血をサラサラにしている方(抗凝固・抗血小板療法など)も、
手術の約1週間前から内服薬を中止し、点滴でのヘパリン投与に切り替えて、
手術を行います。
この場合は入院加療となり、手術の1週間前から入院し、
術後1日目から血をサラサラにする薬を再開し、
術後2日目に問題がなければ退院とします。
合計10日くらいの入院になるとお考え下さい。
術後7日目に抜糸を行います。
お困りの方は、まずは電話かメールでご相談下さい。
形成外科の匂坂が直接対応させていただきます。