栄養課としては熊本地震後初めての通信となります。

 

4月14日

良く晴れた当日のお昼は、春の訪れを喜び ”春の集い” を食堂で開催し、皆様の沢山の笑顔を頂きました。

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しかしその夜、

熊本は前震に見舞われ、16日には本震が起こり、この大地震により病院全体が一時騒然となりました。

 

皆様がそうであったように、どこからも救助の無い状況下ではありましたが

院長の指揮のもと、各部所がそれぞれの役割を的確に判断し、直ちに対応し、

悪夢のような初日、二日目を乗り越えることができました。

 

私どもの栄養課では、温冷配膳車の横転や冷蔵庫エラー・スチームコンベクションの不具合、貯水槽の破損、水道管の破裂による足の踏み場もない厨房といった何から手をつけていいのかわからない状況からのスタートでした。

 

まずは使用できる食品、熱源、容器の選択から始め、

ライフラインは電気のみ使用可能であったので電気調理に切り替えました。

非常時用のマニュアルを基に洗浄不要の弁当箱(後で詳しく述べます)を活用して

患者様に可能な限りの食事提供を行いました。

 

以下にまとめのスライドを供覧いたします。

 

これらのスライドは

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として研修会で発表させていただいたものからの抜粋です。

 

 

 

まず、当院の被害状況です。

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続いて運営状況です。

 

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特に気を付けたのは以下の点でした。

 

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また、普段から災害対策マニュアルの作成、実践を行っていたことが

今回、大変役に立ちました。

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今回の地震は想定していた災害の中でも、もっとも重度である最下段の状況でした。

 

 

 

震災前に行っていた非常食調理の実践講習です。

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このように各患者様の栄養プランに基づいた形態を事前に準備・検討していたことが

災害時には功を奏しました。

 

 

 

 

 

次に震災後、患者様に提供させて頂いた食事内容のまとめです。

 

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地震後献立(新)

 

16日からしばらく汁物の提供ができず、ようやく6日目から味噌汁を再開できたときには

久々の味噌汁に患者さまは大変喜ばれたそうです。

ただ、食材の確保が難しく、栄養補助食品の活用により充足に努めましたが

非常事態とはいえ患者様には大変ご迷惑をおかけしました。この場をお借りしてお詫び申しあげます。

しかしながら病棟において不満の声はほとんど出ず、

むしろ感謝の御言葉を頂き、私たちの気持が奮い立ったことを思い出しました。

 

太枠は私たち職員の食事内容です。

ほとんどのスタッフが被災している中、安心して働けるようにと院長からの御配慮でした。

簡単なものしか用意できませんでしたが、みんなが輪になって温かい食事を一緒に食べれたことが

不安を少しでも取り除く団欒でした。

 

 

水道が使えない状況で大活躍したオリジナル使い捨て弁当箱がこちらです。

 

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弁当箱にぴったりサイズ(№15)の厚めのビニール袋で覆いかぶせれば出来上がり♬

食事終了後にビニールをこのまま外せば洗浄不要。

アルコールで拭いて再利用しました。

 

 

4月 16日夕食です。上:常食      下:全粥・極刻み

4月16日夕

当日はこんなものしか準備できませんでした。

4月18日朝

 

18日の朝食です。 上:常食      下:全粥・刻み菜(一口大)

4月18日朝(粥) 

 

4月19日朝(飯)

 

19日の朝食です。 上:常食      下:全粥・極刻み菜・汁とろみ

4月19日粥・極

 

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20日の朝食です。 上:常食      下:全粥・刻み菜(一口大)・汁とろみ

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4月21日夕

 

21日の夕食です。 上:常食        下:全粥・極刻み菜・汁とろみ

4月21日夕・粥

 

ミキサー食

ミキサー食です。

 

徐々に生野菜や汁もの・デザート等が用意でき、栄養量や見た目にも気を配りました。

このように形態の展開ができたのも電気があったから・・・♡

フードプロセッサーやミキサーが使えて本当に助かりました。

 

 

 

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毎日がすごい速さで過ぎ去り、今思えば立ち止まる暇もなかったように思えます。

徐々に日常を取り戻そうと、7月7日には七夕そうめん、

7月30日には土用丑の日に、鰻御膳をお出しすることができました。

 

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今年の夏は唸るような暑さが続きましたので、今回は鰻にビタミンCとクエン酸をプラスすることで夏バテ防止のメニューにしました。

 

今回一押しポイントしそジュースで作ったジュレ(^^♪

色彩を楽しみ元気をお届けしたくて作りました!(^^)!

 

患者様にも、「懐かしい味」、「きれいな色」と喜んで頂けました。

弁当の掛け紙には、一枚一枚気持ちを込めて折った朝顔の折り紙を添えました。

 

 

当院は熊本城のお膝元に位置する病院ですので、来年の熊本城マラソン開催に歓喜しています。

毎年方々から来熊頂いている走者の方々を応援するのが楽しみです。

 

まだまだ益城地域等では避難生活を送られている方々も沢山おられますが(2016年9月時点)、毎日毎日を大切に、前へ前へと進んでいこうとみんな頑張っております。

 

最後になりましたが、全国の皆様よりたくさんの励ましと、多くの支援物資を頂き、言葉にできないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。

ありがとうございました。

 

普段通りとはいきませんが、皆様が安心して生活ができることを願い

私たちも食事を通して患者様に ”笑顔” を届けていけるよう今後も頑張って参ります。