去る令和5年4月に開催されました栄養と褥瘡の研修会、

「今伝えたい!栄養と褥瘡の勉強会」

では定員90名を超える多くの方々にご参加いただき、誠に有難うございました。

 

 

 

 

特別講演①では「そうだったんだ!経管栄養時の誤嚥性肺炎は予防可能な新時代へ」

と題し、栄養に関連して起こる合併症の病態解説とその対策を臨床研究や症例提示を行いながら匂坂正孝より具体的にお話しさせて頂きました。

 

 

 

 

特別講演②では「褥瘡を最速で治すための形成外科医のエッセンス」と題し、匂坂正信医師より褥瘡の管理方法、予防方法、創傷治癒に関する最新の知見をお話し頂きました。

 

 

 

 

 

その後に行われたグループワークでは大変闊達な討議が行われ、多数のご質問を頂き、ご参加下さった皆様の意欲、モチベーションの高さに感服いたしました。

 

それと同時に、私が臨床の場で常日頃感じている疑問や困難をやはり参加者の皆様も抱いていらっしゃるのだと痛感いたしました。

 

このような研修会で新しい知見を共有し、未解決の問題を医療従事者みんなで討議していくことの大切さを感じました。

 

 

 

 

 

グループワークや質問コーナー、休憩時間に頂いたご質問、ご意見に関しまして

いくつかこの場をお借りしてお答えさせて頂きます。

 

また、詳細につきましては秋ごろに開催予定の第2回研修会でお話しさせて頂ければと思います。

 

 

 

Q1.

「高齢者によくみられる胃食道逆流症について、胃食道逆流(GER)と胃排出遅延(DGE)のベッドサイドで出来る見分け方はありますか?」

 

A1.

胃食道逆流症が胃の入り口部分(噴門)の逆流防止機構の破綻で生じる場合(GERパターン)と胃の排出に問題があり、胃が膨満した結果、普段は噴門部の逆流防止機構は正常でも逆流を来してしまう場合(DGEパターン)の2つについて、臨床研究では上部消化管造影検査で確定診断しています。

 

 

この検査はどの御施設でも出来るものでは無いため、ベッドサイドで検出可能な臨床的な徴候について現在解析を行っています。

現時点ではGERパターンとDGE(胃排出遅延)パターンの見分け方として、以下の2点についてご提案させて頂きます。

 

①胃食道逆流が起こるタイミング:GERパターンでは経管栄養開始早期より気道分泌物の増加や喘鳴など呼吸器症状を呈する場合があります。

DGE(胃排出遅延)パターンでは経管栄養剤や水分で胃が膨満した後に逆流が生じるため食後の嘔吐として遅発性に合併する場合が多いです。

 

②DGE(胃排出遅延)パターンでは胃内滞留の検出が役立つ:栄養投与後、約2時間後に胃内の残留量を確認することで胃排出に問題がないかを確認できます。

 

その他にもベッドサイドで役立てて頂ける方法について研究を進めて参りますので、次回の研修会や栄養学会などで発表する際には宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

Q2.

「経管栄養プロトコルがよく分からなかったので詳しく教えて欲しい」

 

A2.

これは大変失礼いたしました。今回の講演では当院で作成している経管栄養プロトコルの詳細についてはあまり触れておりませんでした。

次回、秋期の研修会で詳細やちょっとしたコツについてお話しさせて頂ければと思います。

何卒、次回も宜しくお願い致します。

 

 

特別講演②の褥瘡管理に寄せられたご質問については次回のブログにてお答えさせて頂きますので暫しお待ちください。

 

 

サキサカ病院

医師、医学博士 匂坂正孝