(2020年4月24日追記)

引用元:Coronavirus disease 2019 (COVID-19): Epidemiology, virology, clinical features, diagnosis, and prevention

Author:Kenneth McIntosh, MD
Literature review current through: Mar 2020. | This topic last updated: Apr 23, 2020.

 

 

 

本日は、Up To Dateより新型コロナウイルス感染症に関する知見を書いていこうと思います。

2020年4月3日に更新された内容で、その時点でエビデンスレベルの高い医学情報が集約されたものです。

 

 

(2020年4月17日追記)

我々のような一般開業医は今回の新型コロナウイルス感染症の流行によって、いきなり最前線の兵士と化しました。

御承知の通り、新型コロナウイルス感染症は無症候性キャリアの存在もあり、一般的な感冒症状と区別できる身体所見上の特徴に乏しく、いつ如何なる時に遭遇するか予想もつきません。

 

己さえも感染に暴露されていないかは明言できないPhaseに入って来ています。

感染症の専門家でもない我々一兵卒がではどうやってこの危機に対して向き合えばよいでしょうか。

 

そのために取るべき行動は明らかです。それは現在集積されつつある、医学的にエビデンスレベルの高い有益な情報を理解し、日々の診療に反映させることです。

 

そのような背景から、まずはUp To Dateの抄読会を始めることにしました。

同時にインターネット上に記録として残そうと思います。

 

普段の診療にお忙しい医療従事者の皆さまにとってもお役に立つことができれば幸いです。

 

 

(2020年4月17日追記)

内容が医療従事者向けとなってしまい、一般の方向けには改めて記載したいと考えています。

時間が許せばその方向で記事をupします。御了承下さい。

 

 

 

<ウイルス学的知見>

・新型コロナウイルス(COVID-19)はSARS(severe acute respiratory syndrome)ウイルスと同じコロナウイルス亜科に属し、その中のベータ(β)コロナウイルス属である(α、β、δ、γ属のうちのひとつ)。1本鎖RNA+鎖ウイルス。

 

・宿主細胞への侵入経路はACE2受容体膜内在性タンパクであり、SARSコロナウイルスと同じ受容体と考えられる。そのため、SARS-CoV-2という略称も検討されている。

 

・中国で早い時期に流行が確認されたtype L(70%)とtype S(30%)の2型が報告

 

→(感想)その後A、B、Cの3型とする報告もあるため今後の分析を待ちたいと思います。

 

 

 

<疫学的知見>

伝播について

・ウイルス伝播の主な経路はヒトからヒト。

 

・via respiratory droplets(前々回ブログの小滴;μmオーダー)、つまりインフルエンザの様式に似た感染様式で感染者の咳や鼻汁、会話による飛沫感染/エアロゾル感染

 

接触感染:ウイルスが生存する表面を触った手で、目や鼻、口を触ってしまい、粘膜面よりウイルスが侵入する様式。

 

・ウイルスを含むDropletsは約2mを超えない範囲で移動し、長くは大気中に生存できない。エアロゾルとしては少なくとも3時間は活性を有するとの報告あり。

 

・血中や糞便中よりウイルスRNAの検出があり、活性のあるウイルスが便中からも認める。

 

感染期間について

まず、PCRで検出されるウイルスRNAは必ずしも感染性のあるウイルスの存在を意味するものではない。

 

・感染初期においてウイルスRNA量が感染後期よりも多いとする報告があり、感染初期段階の方がウイルス伝播は起こりやすい可能性があるが、この仮説の証明にはさらなる情報の蓄積が必要。

 

→(感想)無症候性キャリアによるウイルス拡散の可能性であり、やはり個々人が感染予防対策を講じて他人にうつさないことが大事と思われます。

 

ウイルス排出期間は感染症の重症度に応じて様々である。

 

・ある研究(n=21)では低酸素血症を伴わない中程度の症状では90%の症例で発病(on set)から10日までに鼻咽頭粘膜から採取した検体中のウイルスRNAは反復して陰性となるとしている。一方、重症例ではより長期に渡り陽性となる。

 

・他の研究(n=137)では、中咽頭検体からのウイルスRNA排出期間は中央値が20日間(8-37日間)との報告を行っている。

 

潜伏期間については感染暴露から14日間以内と考えられており、多くの症例で感染暴露からおよそ4-5日後に発症すると考えられている。

 

・症候性のCOVID-19感染者(n=1099)の研究で、潜伏期間は中央値4日間(2-7日間)であった(N Engl J Med. 中国からの報告)。

 

・感染暴露が確認できている確定症例に関する中国の181報の集積データ(2020年1月4日から2月24日まで)によれば、症状は感染から2.2日間以内に感染者の2.5%で認められ、感染から11.5日以内に97.5%の症例において何らかの症状を呈する。潜伏期間の中央値5.1日間 (95% CI, 4.5 to 5.8 days)。

 

→(感想)新型コロナウイルス感染疑いの患者の観察期間(隔離期間)を約2週間と設定することで、感染拡大予防が可能かもしれません。しかし、社会的要因がその妨げとなる可能性があり現実的では無いかもしれません。

 

 

 

 

長文となっており、感染を疑う症状などについては次回にまとめようと思います。

 

上記は2020年4月時点でのUp To Dateの意訳になり、それ以降に情報が更新された場合は新たにブログに記載いたします。

 

匂坂正孝 M.D., Ph.D.